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太古の昔から伝わる人々の知恵 にかわ(膠)
膠の歴史は古く、古代エジプトのその起源を発し、主に、接着剤として使用されていました。
日本では、倭名類聚抄に(承平年間<源順:931-938>)「本草云煮牛皮作之、出東阿故日東阿膠也」と膠の基本的な製法、つまり、
「煮皮(皮を煮る」と記されています。
また、ここには中国の膠「阿膠」についても書かれています。「阿膠」とは、中国古来の薬です。
膠の用途
接着剤 / 絵画 / 墨 / 楽器 ほか
古くから主に接着剤として使用されることが多く、絵画・墨・木製の楽器・製本・貼箱・CDのジャケット・紙器・マッチ・サンドペーパーなど生活に関わる色々な部分で使われています。
長 所
- 強力な初期接着力(イニシャルタック):塗布後短時間で高粘性を示し更にゲル化する
- 乾燥後は、強固な皮膜を形成し接着性を保持します。
- ゲル(ゼリー)化した「にかわ溶液」は加温により、再度溶解され使用可能です。
- 特定の改質剤を混ぜて、容易に加工出来ます。
短 所
- にかわは動物性のタンパク質なので、微生物が繁殖しやすく、腐敗により劣化する恐れがあります。
- 使用時は、加温等の溶解作業が必要です。
- にかわには耐水性はありません。但し、耐水性の短所は、古い家具や楽器などを修理する場合、蒸気により、にかわを軟化させ解体しやすいという長所にもなります。
1.膨潤
冷水に粉末にかわを浸漬し、充分の吸水・膨潤をさせます。
膨潤時間は、にかわの形状等により異なりますが、通常30-60分間です。
水温については、20℃以下が好ましい。
2.溶解
通常、溶解には湯煎又は蒸気浴を用いて、60℃前後の温度が理想的です。
また、粉末にかわではなく、ゼリータイプのにかわは、そのまま、溶解できて便利です。
POINT:(接着剤として)
夏期(乾きが遅い場合):水を減らし、高濃度で薄く塗布します
冬期(乾きが早い場合):水を増やし、低濃度で厚く塗布します
膠の試験方法
JISK6503:2001
1.粘度
ゼラチンを濃度:12.5%に溶解し、上図のような専用のピペット型粘度計で、一定量の溶液の落下時間を測定します。(温度は60℃)計算式を用いて、落下時間を粘度 (mPa・s)に換算します。
2.ゼリー強度
ゼラチンを濃度:12.5%に溶解し、上図のような専用のゼリーカップに入れ、10℃の恒温槽で17時間冷却します。
テクスチャアナライザーという測定器で、ゼリーに荷重を掛けゼリー表面が、4(mm)押し下げられた時の重さを、ゼリー強度としています。
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