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加熱すると溶け、冷却すると固まる。熱可逆性のポシビリティ。
ゼラチンとは動物の体(特に骨や皮)に多く含まれるコラーゲンを抽出・精製した純粋なタンパク質です。ゼラチンとコラーゲンの違いは、分子量、構造の違いです。生体内のコラーゲンは、螺旋状の細長い分子が3本より合わさった形のものが、繊維状に規則正しく並んだ状態で存在しています。 強固な結合のため、容易に水に溶けません。その結合が加熱されることにより、結合が切れたりほぐれたりしたものがゼラチンです。
私たちが日常目にする煮こごりが固まるのは、ゼラチンの仕業です。そのアミノ酸組成は、ゼラチンもコラーゲンも殆ど同じです。最近、健康ブームで注目されているコラーゲンですが、ゼラチンとコラーゲンは、成分的・栄養的にはほとんど同じ。分子レベルに違いがあるものの、食品として摂取する分には同じと考えてもかまいません。
コラーゲンの摂取により、高血圧の防止・骨粗鬆症の軽減、関節炎の治癒に効果があり、また、体内の新陳代謝を促進し、肌の保湿性が高まるため、美容の効果もあります。
ゼラチンの成分
コラーゲン由来のタンパク質が約90%含まれています
エネルギー |
344.0 Kcal |
水分 |
11.3 g |
たんぱく質 |
87.6 g |
脂質 |
0.3 g |
炭水化物 |
0.0 g |
食物繊維 |
0.0 g |
ナトリウム |
260 mg |
カルシウム |
16 mg |
※ゼラチン100g当たりに含まれる栄養成分の量です。「五訂日本食品標準成分表より抜粋」
ゼラチンはコラーゲン由来のタンパク質が約90%含まれています。 そのタンパク質は、18種類のアミノ酸で構成され、トリプトファンを除く全ての必須アミノ酸を含んでいます。
また、消化吸収されやすく、同時に摂取した食物の消化を助ける働きがあります。
ゼラチン・コラーゲンのアミノ酸組成及び配列は、他のタンパク質と比較して非常に特異的です。 グリシン:Glyが全体の約3分の1を占め、アミノ酸配列では、3個に1個の繰り返しとなっています。 イミノ酸(プロリン:Pro、オキシプロリン:Hyp)も多く含まれ、全体の約9分の2を占めます。 また、リジン:Lysも多く含まれ、栄養面においても、他のタンパク質食品にない特異性を持っています。
温めれば液体に、冷やせばゼリーに
一番の特長は、この加熱・冷却で、ゾル(溶液状)・ゲル(ゼリー状)の変化を繰り返すことです。
しかもこのゾル-ゲル変化は、常温に近い温度で、可逆的に行われるのです。
しっとりとした口当たりと口の中でまろやかに溶ける食感はゼラチンの魅力です。
ゼラチンの豊かな起泡性を活かした製品にマシュマロ・ババロア・ヨーグルトがあります。
冷凍食品では、解凍後あるいは調理時に水分を遊離し、食味を損なうことがあります。
このような場合、保水剤としてゼラチンが利用されます。
冷菓の凍結時の安定剤としてゼラチンが利用されます。
ゼラチンの溶液を乾燥すると、強い皮膜を形成します。
この皮膜は、バリア性が高く、内容物の酸化・吸収を防止する強固なものです。
この性能を利用したものに、薬のカプセル等があります。
コラーゲンは、約10万の分子量をもつ3本のポリペプチド鎖(α鎖)で構成されています。
ゼラチンは、その製造履歴で、種々の分子量を持つ分子の集合体になっています。
通常、ゼラチンは、数万から数百万の分子量分布をもっています。
ゼラチンは、過度の加熱や紫外線、ガンマ線の照射、そしてある種の物質との反応によって水に不溶解になります。
食 用
グミ、マシュマロ、プリンなどのスイーツやお菓子をはじめ、総菜などの加工食品、お手軽で便利なチルド食品、冷凍食品など、私たちの身近な食品に数多く使用されています。近年では、ゼラチンの特性を活かし、病院食や介護食にも活用されています。
医療用
カプセルには、ハードカプセルとソフトカプセルがあります。ゼラチンの皮膜形成能を利用した用途です。ハードカプセルは、ゼラチン皮膜で作られたCapとBodyよりなり、主に粉末の薬剤を封入したものです。ソフトカプセルは、可塑剤を多く含むゼラチンシートで主に油性の薬剤を封入したものです。 カプセル以外には、ゼラチンをグリセリン、水等とともに医薬品及び精油成分を練合し、泥状にして主に布に展延したパップ剤があります。 ゼラチンの皮膚に対する親和性が良いことや保水性、粘着性等に優れた性能を利用しています。これら以外には、錠剤・丸剤・トローチ剤・乳剤・座剤等にも応用されています。
工業用
フィルムや印画紙の製造をはじめ、様々な製品に広く利用されています。古くから木や紙の接着剤として用いられてきたことから、いま、文化財や古い書物の修復の現場でも、再び注目されています。
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